鈴木慶一CM WORKS ON・アソシエイツ・イヤーズ(1977-1989)
いやぁ、思っていた以上にはるかに楽しめた。発注先からの注文、目的、用途に合わせた音づくりと歌づくり。30秒の枠の中できちんと伝えるべきところは伝え、なおかつ音楽的な整合性があり、口ずさんでしまうキャッチーさと耳だけでなく記憶そのものに残るメロディの普遍性。まさに天才の職人技。
70年代後半の「バイバイボーイ、バイバイガール」「ひとりよりふたり」「ねむねむクジラ」(いずれも丸井のCM)は名曲。40歳代後半以上の方なら「あーっ、知ってる」と即座に行ってしまえるでしょう、それほどおなじみながらおそらく今までCD化されていなかった名曲がてんこ盛り。斎藤哲夫のヒット曲「いまのキミはピカピカに光って」はもともとCMサイズしかなかったメロディを正式リリースのためにフルサイズに引き伸ばした、なんて全然知らなんだ。でもCMサイズのほうが凝縮されていて断然いい。また、いくつかの曲では後にムーンライダースの楽曲に発展するメロディの断片がそこらかしこに聞こえ(わかる人にはわかる)、謎解きの意味でも使える一枚。
さらにマニアックな視点でいえば、大野方栄、小川美潮、菊池真美、伊集加代といった70年代から80年代にかけての「裏の名女性シンガー」たちのコレクションという側面もある。
いろいろな方面からお勧めの、実に飽きの来ないコンピレーションです。